介護離職の手前にある ”グレーゾーン”/40~50代社員が抱える「介護未満」とは?
こんにちは。生前整理コンシェルジュ/介護離職防止対策アドバイザーの村上充恵です。
介護離職防止のために、多くの企業が2025年4月改正「育児・介護休業法」に基づいて介護支援制度を整えつつあります。
しかし、制度を整え相談窓口を用意していても、「介護が始まったから、介護支援制度を利用しよう」と相談や申請するに至らないケースが多くあります。
(実際、2022年の統計では、介護中の雇用者のうち、過去1年案に介護休業等の制度を利用した人は11.2%です)
参考:総務省 令和4年就業構造基本調査
その理由のひとつが、介護が始まる前の”グレーゾーン“(=介護未満)の存在です。
今回は、40~50代社員が抱える「介護未満」についての解説と、「介護未満」への気づきの大切さについて取り上げます。
40~50代社員が置かれている現実
40~50代といえば、仕事でも家庭でも責任が重くなり、多忙となる時期でもあります。
- 職場では中核人材・管理職
- 家庭では子どもの進学・受験・独立期
- 一方、親は老年期に入り、衰えが見え始める
ただ、「親や実家が危ない気がしている」多くの40~50代社員は、こう考えています。
- まだしばらくは大丈夫だろう
- 忙しくてそちらまで気が回らない
- 気になるが何をしたらよいのかわからない
- 介護が必要であってほしくない
親については「そうであってほしくない」というバイアスがかかりやすいこともあり、この段階では、社員本人も“介護”を意識していません。
けれど実際には、すでに“グレーゾーン”に入っているケースが非常に多いのです。
介護が始まる前の“グレーゾーン”とは
ここでいう“グレーゾーン”とは“介護未満”段階のこと。
個人差はありますが、一般的に「健康寿命」(⇒健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)が終わるころから、何らかの暮らしのサポートを必要になるといわれています。
(健康寿命:男性72.57歳 女性75.45歳/2022年)
親がグレーゾーン(介護未満)に入ったステージでは、以下のような状況が見られます。
- 実家に様子を見に行く回数が増えた
- 買い物や食事などに不安がありサポートしている
- 病院への付き添いが必要になった
- 不要品やゴミを定期的に始末している
- 金銭管理などが怪しくなったので手伝っている
確かに親は「要介護状態」ではありません。社員本人も「まだ介護ではない」と思っています。「介護休業や介護休暇を使う段階ではない」、つまり、会社に相談するほどではない、と考えがち。でも確実に、社員は心と時間とエネルギーを使っているのです。
介護支援制度があっても、社員が動けない理由
介護休業制度や介護休暇は、「介護と認識できた後」に使われる制度です。
先に述べたように、グレーゾーン(介護未満)における社員は
- 相談していいレベルかどうかわからない
- まだ介護じゃないから自分が動けばなんとかなる
- バタバタして何から話せばいいのか整理できていない
- 会社に迷惑をかけるほどではないからもう少し先で良い
という状況で、会社の支援制度を意識することはありません。
厚生労働省の調査でも、仕事と介護の両立に関する制度や相談先について、十分に知られていない実態が示されています。
正規労働者のうち「介護休業制度の内容」を知っていた人は41.0%にとどまり、調査対象となった制度・相談先について「どれも知らない」と回答した人も32.8%いました。 参考:厚生労働省 令和3年度仕事と介護の両立支援等に関する調査
具体的な行動に移せず時間が過ぎてしまい、結果として、制度の入口にすら立てないまま、離職してしまうことになります。
つまり、介護が始まってから制度を調べればよい、という発想では遅い場合があるということ。
人事担当者が介護離職防止で特に意識したいのが、この「介護未満」ステージにいる社員へ、早い段階で情報とアクションのきっかけを届けることなのです。
「親の生前整理」の現場で伝える“介護未満への気づき”
私が伝える「親の生前整理」のセミナー現場では、受講動機としてこんな声が聞かれます。
- 親や実家の気になることが増えてきた
- 親の変化に気づいているが、言い出せない
- 実家のモノを捨てたいが、ケンカになる
- 終活してほしいと言ったら、嫌な顔をされた
- 介護など将来が不安、どうしたら良いだろう
これらはもちろんまだ「介護」ではなく、また「介護未満」より手前の状態かもしれません。
この段階から「生前整理」メソッドでコミュニケーションをとりつつモノ・心・情報の整理をしていくと、
- 親の状況に応じた介護未満サポートができるので、介護が始まったからといって慌てずに対応できる
- 必要なサポートが早い段階で可視化できるため、タイミングよく会社に相談することができる
- 親子の良い思い出ができるだけでなく、信頼関係が深まるので、その後もトラブルが少ない
といったメリットが期待できます。
「生前整理」の大きな強みは、介護に向けた準備が日常の延長線上で考えられること。
”介護未満への気づき“という視点を届けることで、本格的介護が始まる前に必要な準備やサポート内容を整理することができます。
つまり、「生前整理」は、社員が仕事を続けながら介護と向き合うための入り口になるのです。
まとめ:介護離職を防ぐ「介護未満」へのアプローチ
介護支援制度が利用されにくい背景には、本格的な介護以前の「介護未満(グレーゾーン)」という見過ごされがちなリスクがあります。
40〜50代の社員は「まだ大丈夫」と問題を先送りし、突然の介護離職に至るケースが少なくありません。
人事担当者は、社員のグレーゾーンの段階で適切なサポートをすることが効果的です。そのきっかけとして有効なのが「親の生前整理」です。
これを介護準備の入り口として促すことで、親子間のコミュニケーションが活性化し、必要な介護のサポートが可視化されます。
結果として、社員は本格的な介護への準備を整え、離職リスクを減少させることにつながります。
介護未満への気づきを促すことは、離職リスクを軽減し、社員のキャリアと家庭生活を守るために効果的な対策といえます。
以下の記事では、『生前整理』を社員研修に取り入れることで、社員一人ひとりが「介護とキャリア」に向き合い、突然の介護離職を防ぐための備えについて説明しています。ぜひご一読ください。
親が元気なうちの「生前整理」は介護離職防止の入口になる
また、以下の記事では、社員向け「親の生前整理」研修プログラム(全3回)の概要や他社導入事例を紹介しています。
人事担当者向けのオンライン体験会日程も案内中ですので、ご興味を持たれた方はチェックいただければ幸いです。
介護離職防止に向けた社員向け「生前整理」講座・オンライン研修のご案内
更に、同研修プログラムの「デモ講座」をストアカ(オンライン講座)で実施中ですので、お気軽にご参加ください。
詳細とお申込みは⇒ 【人事向け体験会】介護離職を防ぐ「親の生前整理」社内研修導入デモ講座(ストアカ)
「介護離職防止と生前整理」については、以下の記事でも発信しております。順不同で、どの記事からでもお読みいただけます。
人事が知っておきたい、介護離職防止に「生前整理」が役立つ3つの理由
突然の介護離職を防ぐ鍵は生前整理!親の変化への気づきなど、両立支援に役立つ3つの理由を解説します。
介護離職の手前にある ”グレーゾーン”/40〜50代社員が抱える「介護未満」とは?【現在の記事】
「まだ介護じゃない」と抱え込む40〜50代のグレーゾーンとは?「介護未満」への気づきと備えを解説!
介護離職防止のために人事担当者が取り組みたい最初の一歩/「介護未満」へのアプローチ
介護離職防止の第一歩は「介護未満」へのアプローチ!人事向け支援タイムラインや生前整理の有効性を解説。
親が元気なうちの「生前整理」は介護離職防止の入口になる
親の生前整理が介護離職を防ぐ!モノや情報を整理し、親子の絆を深めて仕事と介護の両立をスムーズにするメソッドを紹介します。
介護離職防止に向けた社員向け「生前整理」講座・オンライン研修のご案内
介護未満から備える!社員向け「親の生前整理」研修プログラムの概要や導入事例、人事向け体験会をご案内。

