介護離職防止のために人事担当者が取り組みたい最初の一歩/「介護未満」へのアプローチ
こんにちは。生前整理コンシェルジュ/介護離職防止対策アドバイザーの村上 充恵です。
社員が家族の介護を理由に離職する「介護離職」が社会問題となっています。
近年の調査では、介護離職者の約7割が1年以内に退職の判断をしているというデータもあり、その深刻さが浮き彫りになっています。(参考:厚生労働省「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査」)
こうした背景を受け、2025年には介護休業制度が改正されました。この制度では、企業に「研修の実施」「相談窓口の設置」「当事者意識の喚起」などが義務付けられています。
本記事では、社員の介護離職を未然に防ぐための重要なフェーズとして「介護未満」に焦点を当てながら、「介護離職防止」に向け人事担当者が取り組める具体的な対策について提案します。
なお、「介護未満」とは、親が心身ともに健康で介護の必要がない時期から、要介護認定を受ける前、あるいはちょっとした見守りやサポートが必要になり始めるまでの期間を指します。
人事担当者が知っておくべき社員の「介護タイムライン」
社員のライフステージおよび親の状況に応じた必要な介護支援を以下のように整理してみました。
現在、大多数の企業において「介護と仕事の支援制度」を利用しながら働く社員はまだ少数。その経験値や情報共有が不足している状態にあります。ほとんどの社員は介護未経験のため、自分ごととは考えづらいステージにいるのではないでしょうか。
そこで注目すべきなのが「介護未満」のフェーズです。
本格的な介護が始まる前のこの時期から、将来を見据えた知識を身につけ親との対話を重ねておくことで、将来的な介護離職リスクの大幅な低減へとつながると考えます。
| 視点 | 介護未満(目安:40代) | 介護発生・初期 | 介護中・中長期 |
|---|---|---|---|
| 社員の親の状態 | 不自由なく日常生活を送れている状態 ~ 通院付き添いなど普段の生活においてサポートが必要な時期 | 要介護認定がされ、公的な介護サービスが本格的にスタート | 要介護度の進行・重症化 |
| 社員の対応 | ・親子間コミュニケーションを増やす・安全な住環境を整備する ・家族・親族間での方針の話し合い ・相談先や情報源の事前リサーチ ・生活サポートサービスの検討 ・介護保険制度の基礎知識の習得 | ・外部サービスを組み込んだケア体制の構築とマネジメント ・介護拠点の確保・環境整備 ・家族内で動けるリソースの見極め ・職場への適切な相談・調整 | ・初期対応の振り返りと体制のシステム化 ・職場における就業スタイルの再調整 |
| 企業が提供する 支援施策 (フェーズ別) | ・各種研修やセミナーを実施。親との意思疎通や実態の把握を後押しする。 ・事前の備えに対する当事者意識を高め、社内の相談窓口や制度の目的について周知を図る。 | ・就労継続を第一の目標に掲げ、活用できる社内制度の案内 ・個別のキャリア意向の確認を進める。 | 柔軟な社内制度の活用を推奨しながら、必要に応じて外部の専門機関やケアマネジャー等と連携し、継続的な両立体制を維持する。 |
| 企業が提供する 支援施策 (共通) | ・実態・ニーズの把握:定期的な社内アンケート等を通じて社員が置かれた介護環境を把握し、優先すべき課題や対応策を決定する。 ・定期的な面談の実施や、介護当事者・予備軍を対象とした社内コミュニティ(介護者の集い)などのイベント開催。 | ||
なぜ「介護未満」へのアプローチが最適解なのか?
大部分の中高年社員のステージは、親がまだまだ元気か、または本格的な介護が始まる手前、表内左側の「介護未満」にあります。介護離職を防ぐ上で重視すべきなのは、この「介護未満」ステージにおいて、親の介護を自分ごととしてとらえる材料を届けることなのです。
「介護未満」とは?
ここで言う「介護未満」とは、親が心身ともに健康で介護の必要がない時期から、要介護認定を受ける前、ちょっとした見守りや日常のサポートが必要になり始めるまでの期間を指します。
この時期社員は「まだ誰かに相談するレベルではない」「家族で話し合うほどではない」と考えがちですが、実際には本格的な介護生活へ移行する前の重要な「準備期間」であり、仕事との両立に向けた基盤を整えるべき大切なフェーズと言えます。
企業側がこの段階から、仕事と介護の両立支援制度や知っておくべき知識をアナウンスしておくことで、社員は将来に向けた心の準備ができ、両立の見通しが具体的になります。
一方、社員側も、親が元気なうちに日頃の暮らしぶりや健康状態、持病、困りごとなどをしっかりと把握し、密なコミュニケーションを重ねておくことで、将来いざ介護が必要になった際にもパニックにならず、スムーズに次の行動へ移れるようになります。
では、「介護未満」のステージにいる社員に、どのように働きかければ良いでしょうか?
実は、親のモノ・心・情報を整理する「生前整理」メソッドを学ぶセミナ-・研修が、非常に有効なのです。
「親の生前整理」メソッドを社内研修に取り入れることの利点
「生前整理」という言葉から、相続対策や終活、あるいは不用品の片づけを連想されるかもしれません。
しかし、介護離職を未然に防ぐという観点においては、親が元気な「介護未満」のステージから住まいや持ち物、そして大切な情報を家族間で共有するための有効なアプローチなのです。
「親の生前整理」をテーマした研修は、社員が「自分ごと」として受け止めやすく、家族間のコミュニケーションや今後のライフプランを考える良い機会となります。
親がまだ元気な「介護未満」からコミュニケーションをとることで、今後、介護状態へと進む親の心身の細かな変化に気づくことができるようになります。
また企業側にとって、社員の家庭環境があらかじめ整理されていることは、仕事と介護の両立をサポートする上で大きなメリットとなります。
本格的な介護生活が始まる前の予防的アプローチとして、「生前整理」は非常に有効な第一歩となるのです。
なお、「生前整理」メソッドを社員向けプログラムとして活用することの詳細については、次の記事でご紹介しています。
親が元気なうちの「生前整理」は介護離職防止の入口になる
まとめ
介護離職防止への取り組みは、会社の支援だけでも、個々の社員の努力だけでも実現できません。
「介護未満」という介護手前のフェーズから、社員に「時間にゆとりがある今だからこそ、前向きに準備を始めよう」と促すことがポイントです。
「生前整理」メソッドを通じた対策を講じることで、離職リスクを抑えることが可能になります。まずは「介護未満」の社員の現状把握から始めてみませんか。
以下の記事では、『生前整理』を社員研修に取り入れることで、社員一人ひとりが「介護とキャリア」に向き合い、突然の介護離職を防ぐための備えについて説明しています。ぜひご一読ください。
親が元気なうちの「生前整理」は介護離職防止の入口になる
また、以下の記事では、社員向け「親の生前整理」研修プログラム(全3回)の概要や他社導入事例を紹介しています。
人事担当者向けのオンライン体験会日程も案内中ですので、ご興味を持たれた方はチェックいただければ幸いです。
介護離職防止に向けた社員向け「生前整理」講座・オンライン研修のご案内
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「介護離職防止と生前整理」については、以下の記事でも発信しております。順不同で、どの記事からでもお読みいただけます。
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